最終更新日 2023年6月27日

もともと薬事法と呼ばれていた薬機法

薬機法はもともと薬事法と呼ばれていました。
平成26年11月25日に改正されたときに、薬事法から医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律と名称変更されました。

名称が長くなったため、呼ぶときに不便があるため、医薬品の「薬」と医療機器の「機」をとって薬機法と呼ばれるようになりました。
主な改正点は、薬事法では統一された規制でしたが性状の違いによる不便さから章立てで医薬品と医療機器を分けました。

新たな分類として再生医療用製品が追加されました。
また医療用プログラムが医療機器として規制されるようになりました。

この法律は、名称の通り医薬品と医療機器等の有効性と安全性と品質について規制したものです。
規制は二面性があり、製品に対するものと、取り扱う業者に対するものに分かれます。

製品については、リスクに応じた許認可制度があります。
メーカーである製造販売業社は、医療に供されるものの有効性、安全性を試験により確認します。
試験機関による検査を行って規格への適合性を確認したり、動物を利用した実験によって効能や効果、安全性を確認します。

場合によっては、治験によって確認を行います。
治験は承認を得るために行われる臨床試験です。

臨床試験は人に対して行われる試験を総称したものです。
その結果を承認申請に利用するのが治験です。

治験はリスクを理解した上で同意する

参加される人は、リスクを理解した上で同意し、未承認の医薬品の投与や医療機器の施術を受けます。
結果として、有用性や安全性を統計解析し、そのリスクとベネフィットを比較します。

治験はすべての申請に対して必要とされるわけではありません。
既存の製品との比較試験で実質的な同等性が確認できたり、文献などによって安全性、有効性を確認できる場合には省略することができます。

また品質については、医療機器は国際規格であるISO13485をベースに作られたQMS省令によって品質マネジメントシステムを構築し、維持する必要があります。

ISO13485に適合した施設であれば一定の品質を確保することができます。
ISO13485は一般的な品質マネジメントシステムであるISO9001の医療機器版です。

要求事項が少し増えて、文書や記録の管理も上乗せ要求があります。
医薬品についてはGMP省令によるマネジメントシステムの構築が必要です。

これらの規格への適合性は、査察によって確認されます。
有効性、安全性が確認され、品質の査察に合格すると許認可を得ることができます。

許認可を得るまでは、販売も貸与も譲渡も、広告も輸入も認められていません。
取得した許認可は定期的なマネジメントシステムの監査を受けることで維持することができます。

業者に対する規制について

業者に対する規制は、ビジネスライセンスです。
医療に供する製品を扱う業者には、その業態にあったビジネスライセンスを取得する必要があります。

そのための要件があるので、適合し維持する必要があります。
主な要件としては、人的なものと構造設備に関するもの、システムに関するものがあります。

それぞれの業態にあった責任者を設定する必要があり、それは企業のトップがいるだけでは満たされません。
従事年数が決まっているものや習得した学位が重要な場合もあります。

このような人的要件を満たした人材を配置する必要があります。
構造設備については、清浄エリアや無菌室などもありますが、一般的に清潔で居住区と区別されている場所などの要件があります。

監査のときには、このような要件についてもチェック対象となります。
システムに関するものは、品質に関するものと安全に関するものです。

それぞれに営業に関与しない責任者を設置し、正当な判断が下せるようになっています。
品質についてはマネジメントシステム規格への適合や省令への適合性によって維持します。

日頃の作業は決められた手順書に従い、規定の様式を使って記録管理されます。
この要件が満たせない場合は、製品の許認可が維持できなくなります。
また、医療機器の場合は中古で販売される医療機器についてもメーカが品質を担保することになります。

安全性について

安全性については、市販後の調査や市場の監視によって行われます。
市販後調査は、承認された内容で問題ないかを日々の診療行為の中でモニタリングすることです。

何かあれば、記録として残し、必要に応じて行政への報告を行います。
市場の監視は、文献、使用者からの苦情、海外などで行われている回収についてなどを定期的に収集し、分析した結果で対応を行うものです。

もし入手した情報から取り扱っている製品に影響することに対して対応を検討する義務があります。
場合によっては、回収や変更を行って適正に利用できるようにする必要もあります。

使用時に確認しなければならない注意事項は添付文書と呼ばれる8ページ4枚までに取扱説明書の内容を凝縮して掲載したものです。
このように製品と業者の規制によって、医療機関で安心して使用できる医薬品と医療機器を提供できることを目的としています。

 

出典

1.薬事法広告表現チェック

投稿者 nisarchive